『パラノイドパーク』

原題:PARANOID PARK

監督・脚本:ガス・ヴァン・サント

出演:ゲイブ・ネヴァンス/テイラー・モンセン/ジェイク・ミラー/ダン・リュー/ローレン・マッキーニー /スコット・グリーン/オリバー・ガーニアー/ウィンフィールド・ヘンリー・ジャクソン/ディラン・ハインズ/ブラッド・ピーターソン

製作:二ール・コップ/デイヴィッド・クレス
撮影:クリストファー・ドイル/レイン・キャシー・リー
美術:ジョン・ピアソン・デニング
衣装:シャピン・シンプソン
配給:東京テアトル/ピックス

2007年/アメリカ・フランス/85分/スタンダード/ドルビーSRD

あらすじ
16歳の少年アレックスは始めたばかりのスケボーに夢中。その日も、スケボー少年の聖地・パラノイドパークに向かった。しかし頭をよぎるのは家族の事や彼女のジェニファーの事ばかり。不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りに参加する。その時、ふとした偶然から鉄道警備員を死なせてしまう。不安に駆られながらも、何事もなかったかのように日常生活を送るアレックスだったが…。

解説
『エレファント』や『ラストデイズ』など、若者の心の揺らぎや痛みを、彼らと同じ目線に立って描くことで定評のあるガス・ヴァン・サント監督作品。ある一夜の“事件”で、いきなり人生の試練に直面する事になった少年の揺れ動く気持ちを、監督独特のスタイリッシュな映像で映画化(35ミリとスーパー8を駆使して、その研ぎ澄まされた映像を作り出したのはクリストファー・ドイル)。主役に抜擢された地元ポートランド出身の新人、ゲイブ・ネヴァンスが、危うさを内包した10代の心模様を見事に演じた。また、ニーノ・ロータの映画音楽や、エリオット・スミスのナンバーなど、その音楽の使い方にも注目したい。



ちょっとした好奇心から人を殺めてしまった16歳の普通の少年(両親は離婚寸前の状態ではあるものの、本人は特に素行に問題があるわけでもない)の心の襞のようなものを、少年の独白と印象的な映像で描く秀作。

オーディションで選ばれたという主人公役の少年の横顔が、時々はっとするくらい美しいのが印象的。
スローモーションで描かれるスケート・ボーディングのシーンは音楽とあいまってすごく気持ちがいい。

物語はミステリー風に始まるが、結論は観ているものに委ねられる。

ぼくの拙い文章ではこの映画のよさを充分に伝えることが出来ないのが申し訳ないような作品。機会があれば一度観られることをおすすめします。