『さよなら。いつかわかること』

原題:Grace is Gone

監督・脚本:ジェームズ・C・ストラウス

出演:ジョン・キューザック/シェラン・オキーフ/グレイシー・ベドナルジク/ダグ・ディアーズ/ダグ・ジェームズ /アレッサンドロ・ニヴォラ/ザカリー・グレイ

製作:ジョン・キューザック/グレイス・ロー/ガルト・ニーダーホッファー/ダニエラ・ダブリン・ランドバーグ
撮影:ジャン=ルイ・ボンポワン
美術:スーザン・ブロック
音楽:クリント・イーストウッド
衣装:ハー・グエン
配給:ザナドゥ

2007年/アメリカ/85分/カラー/ドルビーデジタル

あらすじ
ホームセンターで働くスタンレーは、二人の女の子の父親。母親は陸軍軍曹として、イラクに赴任中だった。長女のハイディは、父親のいない時に、こっそり戦争のニュースを見ていた。スタンレーは、母親を恋しがる娘たちとうまく接することが出来ず、いつもぎこちなく食卓を囲んでいた。ある日、妻が亡くなったという報せが届く。突然の妻の死を伝えることが出来ないスタンレーは、娘たちと小旅行に出かけることを思いつく…。

解説
アメリカでは、イラク戦争で戦った人々の「その後」の人生が社会問題になっているが、本作は戦争で父親ではなく、母親を亡くした家族の再生の物語。主人公は、妻の死を子供たちに話すことが出来ない。それは、子供に話す以前に、自分自身が妻の死という事実を受け入れることが出来ないからだった。日本では、戦争で家族を亡くす(それも母親)ということにリアリティを感じられないが、アメリカでは少ないケースではないようだ。しかし、車で旅をしながら父娘の距離が近付き、心を開くまでの過程は、「分かる、分かる」と頷く人が多いのでは?全編にわたり、亡くなった母親の顔も戦地の様子も出てこないが、戦争を描いた作品と言っていいだろう。




↑の解説と異なる見解ではありますが、戦争を描いた作品というよりも、親子を描いた作品だと思いました。

物語の発端はイラク戦争にあるんでしょうが、あまりそれを意識させないつくりがいい(母親を亡くすという状況にはいろんなバリエーションがあるでしょうから・・・)。
見るからに利発そうで、大きくなったら美人になるであろうと思われるお姉ちゃんと、天真爛漫な妹、この二人がほんと可愛らしくて・・・
なんとも情けない感じのジョン・キューザックも他人事とは思えない演技で、感心しました。

クリント・イーストウッド(こんなに巨匠になる前からのファンです。ちなみに、一番好きな映画は『ハートブレイク・リッジ』です)の音楽もなかなか心に染み入ります。

あざとい演出が一切ない、いい映画です。