『実録・連合赤軍―あさま山荘への道程(みち)』

監督・製作:若松孝二

出演:坂井真紀/ARATA/並木愛枝/地曵豪/大西信満 /菟田高城/タモト清嵐/伴杏里/坂口拓/奥貫薫/佐野史郎

ナレーション:原田芳雄
プロデューサー:尾崎宗子/大友麻子
脚本:若松孝二/掛川正幸/大友麻子
撮影:辻智彦/戸田義久
照明:大久保礼二
美術:伊藤ゲン
音楽:ジム・オルーク
配給:若松プロ

2007年/日本/190分/カラー・モノクロ/35mm/ビスタサイズ

あらすじ
1972年2月、日本中がテレビに釘付けとなった。5人の若者たちが、長野県軽井沢の「あさま山荘」に立てこもり、警察との銃撃戦を展開したのだ。彼らは、革命に自分たちのすべてを賭けた「連合赤軍」の兵士たち。その後、彼らの同志殺しが次々と明らかになり、日本の学生運動は完全に失速する−。ベトナム戦争、パリの5月革命、文化大革命日米安保反対闘争、世界がうねりを上げていた1960年代。学費値上げ反対運動に端を発した日本の学生運動も、三里塚闘争など、農民や労働者と共に、社会変革を目指し、勢いを増していった。活動家の逮捕が相次ぐ中、先鋭化した若者たちによって、連合赤軍は結成される。

解説
あの時代に、何が起きていたのか。革命戦士を志した若者たちは、なぜ、あそこまで追いつめられていったのか。なぜ、同志に手をかけたのか。なぜ、雪山を越えたのか。なぜ、山荘で銃撃戦を繰り広げたのか。あさま山荘へと至る激動の時代を、鬼才・若松孝二が描くいた本作は、2008年ベルリン国際映画祭「フォーラム部門」招待作品に選出され、第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門では作品賞を受賞した(作品資料より)




連合赤軍側に多少のシンパシーをもちつつ、この事件をリアルタイムで見ていたものにとっては、公開当初からずっと気になっていた作品。
当時、そしていまでもよくわからないのが事件後に明らかになった「総括」という名のもとにおこなわれた「リンチ殺人」事件。
この謎を解く鍵がこの作品に隠されているのかどうか?

映画は前半(60年安保からはじまり、連合赤軍結成までの事実確認)、中盤(実際「総括」がおこなわれた山岳ベースでの時間)、後半(浅間山荘での立てこもり事件)とだいたい三部に分かれています。

山岳ベースでの出来事が描かれる中盤は、森恒夫永田洋子を中心に物語は進んでいきます。画面全体になんともいえない閉塞感が漂っていて、観ているこちらも息が詰まりそうになります。

後半、この二人がいなくなってガラッと雰囲気が変わります。浅間山荘での銃撃戦は、なかなか映画的で(フィクションとはいえはじめて、犯人の側から描いたという意味で)それなりに盛り上がりをみせます。

190分という時間を、だれることなく一気に見せてしまう若松監督の力量はなかなかのものですが、やっぱりどうしてあんなことになってしまったのか、ぼくにとっては謎のままです。
加藤少年の最後の叫びもぼくの耳にはむなしく響くだけでした。