『映画時評2009-2011』 蓮實重彦 講談社

3年間に見続けた、映画という名の奇蹟の数々。

1 映画時評2009‐2011(ゆるやかなロシア的「寛容」について―アレクサンドル・ソクーロフ監督『チェチェンへ アレクサンドラの旅』;「見てしまったことの牢獄」からいかにして解放されるか―エリック・ロメール監督『我が至上の愛アストレとセラドン〜』;赤い唇と赤い市街電車に不意討ちされて―クリント・イーストウッド監督『チェンジリング』;この「大胆さ」と「小心さ」のほどよい均衡を侮蔑の対象としてはなるまい―バズ・ラーマン監督『オーストラリア』;三度目に流れる音楽を受けとめながら、ようやくにして真の主題に思いあたる―クリント・イーストウツド監督『グラン・トリノ』 ほか)
2 「映画時評」の余白に(映画に「歴史」は存在しない―批評家の心もとないつぶやき;合衆国に向けるべき視線を思いがけぬやり方で鍛えてくれる―黒沢清トウキョウソナタ』論;三つ目の視線 あるいは未熟な桃を手渡す身振りに露呈される歴史性をめぐって―馮艶監督『長江にいきる 秉愛の物語』;フランシス・F.コッポラの現在―『コッポラの胡蝶の夢』の公開に向けて;感動を遙かに超えた豊かな沈黙のうちに―クリント・イーストウッド監督『グラン・トリノ』 ほか)
3 「映画時評」を超えて(「混沌」から「透明」へ―青山真治『東京公園』をめぐっての対談)
映画批評の第一人者による時評・評論・対談集。「群像」の人気連載、待望の単行本化。この1冊で3年間の映画シーンの全てがわかる。
078★★★★