『ぼくたちのムッシュ・ラザール』 テアトル梅田

●スタッフ
監督 フィリップ・ファラルドー
脚本 フィリップ・ファラルドー
原作 エブリン・ド・ラ・シュヌリエール
製作 リュック・デリ
キム・マクロー
撮影 ロナルド・プラント
●キャスト
モハメッド・フラッグ (Bachir Lazhar)
ソフィー・ネリッセ (Alice L'Ecuyer)

エミリアン・ネロン (Simon)
ブリジット・プパール (Claire)
ダニエル・プルール (Ms. Vaillancourt)
エブリン・ド・ラ・シュヌリエール (Alice's Mother)
世界各地の映画祭で絶賛され、本国カナダ・アカデミー賞で主要6部門受賞、第84回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた本作は、モントリオールの小学校を舞台に、担任教師の突然の死に動揺する生徒たちと、その後任となった中年男性教師との交流を描いた人間ドラマ。子どもたちと誠意を持って向き合うラザール先生の姿を通し、教育のあり方や人生について繊細に紡がれた物語だ。監督はケベック出身で、トリュフォーを彷彿とさせる作風が魅力のフィリップ・ファラルドー。複雑な背景を持つ謎めいたラザール先生を演じたアルジェリア出身の俳優フェラグの演技もさることながら、物語を牽引する二人の子役の熱演も見逃せない。
●解説
モントリオールの小学校を舞台に、担任の自殺に動揺する生徒たちと、アルジェリア系移民の代理教師との心の交流を描くヒューマンドラマ。監督は、「本当に僕じゃない!」のフィリップ・ファラルドー。出演は、「いのちの戦場 アルジェリア1959」のモハメッド・フラッグ。第84回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。
●あらすじ
ある冬の朝、モントリオールの小学校へ、牛乳当番のため早めに登校したシモン(エミリアン・ネロン)は、担任の女性教師マルティーヌが教室で首を吊って死んでいるのを見つける。シモンから事態を聞いた教師が全校生徒を校内から退出させるが、シモンの同級生アリス(ソフィー・ネリッセ)もその現場を見てしまう。事件から1週間が経ったが、子どもたちはショックを受け、学校は生徒たちの心のケアや後任探しの対応に追われていた。そんななか、アルジェリア系移民の中年男性バシール・ラザール(モハメッド・フラッグ)が代理教師の募集広告を見て応募してくる。採用されたラザールは、温和な性格から早々に子どもたちと打ち解けるが、その授業のやり方は決して洗練されたものではなかった。円形に並んだ机を直線に並べ替えたり、子どもには難解なバルザックの古典小説の口述筆記を課したり、古い文法用語を使ってフランス語の授業を行ったりした。子どもたちはラザールの授業に戸惑いつつも、徐々に以前の生活を取り戻していく。なかでもアリスはラザールの母国アルジェリアに真っ先に興味を持ち、写真を集めるなど、誰よりも積極的に新しい環境を受け入れようとするが、マルティーヌ先生の死を忘れることができなかった。そして、その現実を遠ざけようとする学校側の姿勢に疑問を持ち、先生の死を気にしていない振りをするシモンに苛立つ。一方、ラザール自身も、愛する人々の死を乗り越えなければならなかった……。
073★★★★