「落語の国からのぞいてみれば」堀井憲一郎(講談社現代新書)

落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書)

落語の国からのぞいてみれば (講談社現代新書)

うん、これは今年読んだ本のなかでもなかなか感心した一冊。(今年のベストテン上位決定!)

まあ感心したというか、オレが普段からなんとなく思っていることをちゃんと言葉にしてくれている快感というかなんというか。
着想自体がまず非凡ですし、結構本質的な問題をこういう風にちょっとおちゃらけて書くというのは才能がある証拠。
しかも、たぶんもっとも寄席や落語会に足を運んでいる人間のひとりだし(と、ホリイ本人が週刊文春に書いていた)、実際、東海道五十三次を歩いてみたりと、なかなか説得力あり。

落語にはなしを限定すると、このヒトはぼくより二つ年下なんですが、仁鶴で落語の面白さを知り、米朝で落語を勉強(?)し、枝雀が大好きといったあたりがぼくの体験とすごくシンクロしていて、センスが合うというか、このヒトの噺家に対する評価等、参考になることが多いですね。

とりあえず、一番ワロタのは『算段の平兵衛』の項の「それにしてもなぜ桂文珍桂米朝ネタをそのまんま演じてCDにしてるんだろう。何枚も聞いたのだが、何の意味があるのか私にはよくわからない。」というくだり。(文珍ファンのヒトがいたらごめんなさい)
うれしかったのは、『代書屋』の項の「いま、ライブで見ないといけない噺家は、東西を通して桂春団治にとどめをさすとおもう。見てると惚れます。」というくだり。