『寅申の刻』 ロバート・ファン・ヒューリック ハヤカワ・ポケット・ミステリ

中国・唐代に宰相をつとめた狄仁傑は、その若き日に各地の知事を歴任し、その先々で名判事としての伝説を残した。
その記録に感銘を受けた著者ヒューリックは、自らの作品に判事を探偵役で起用し、一連のシリーズを書き上げる。
今日でも世界中で人気を博すディー判事シリーズの最後を飾る本書には中篇二作を収録する。
一匹のテナガザルが残していった指輪を手掛かりに快刀乱麻の推理を披露する「通臂猿の朝」と、孤立無援の状況で田舎屋敷の怪事件を解決する「飛虎の夜」は、いずれも長篇作品にも勝る会心作である。
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