『キリマンジャロの雪』 梅田ガーデンシネマ

●スタッフ
監督 ロベール・ゲディギャン
脚本 ロベール・ゲディギャン
ジャン=ルイ・ミレシ
撮影 ピエール・ミロン
美術 ミシェル・ヴァンデシュタイン
録音 ローレン・ラフラン
アルメル・マエ
編集 ベルナール・サシャ
衣裳デザイン ジュリエット・シャノー
助監督 フェルディナン・ヴェレーグ
字幕 寺尾次郎
●キャスト
アリアンヌ・アスカリッド (Marie-Claire)
ジャン=ピエール・ダルッサン (Michel)
ジェラード・メイラン (Raoul)
マリリン・カント (Denise)
グレゴワール・ルプランス・ランゲ (Christophe)
「貧すれば鈍する」に陥る事のない、慎ましく品位ある主人公夫婦の生き方に拍手を送りたい。『幼なじみ』『マルセイユの恋』のロベール・ゲディギャン監督が文豪ビクトル・ユゴーの長編詩《哀れな人々》に着想を得て描く人間ドラマは、妻であるアリアンヌ・アスカリッドやジャン=ピエール・ダルッサンらお馴染みの俳優たちを起用し、生まれ育ったマルセイユを舞台に展開する。正しいと信じた行為が実は熟慮を欠いたものだったと気づいた時、主人公夫婦は今の自分たちにできる最善の道を選ぶ。目の前に困っている誰かがいれば助けずにはいられないのだ。ごく普通の人々が持つ善良さを信じさせてくれる清々しいラストがいい。
●解説
港町マルセイユを舞台に、結婚30年を迎えた夫婦が、職場のリストラや強盗の襲撃という辛い経験を重ねながら生きる姿を通じて、人を思いやることの大切さを描く。出演は、「クレールの刺繍」のアリアンヌ・アスカリッド、「ル・アーヴルの靴みがき」のジャン=ピエール・ダルッサン。監督は「幼なじみ」のロベール・ゲディギャン。
●あらすじ
港町マルセイユの埠頭。青い作業着を着た男たちが並んでいた。ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)が労働組合委員長を務める会社も人員削減を余儀なくされ、労使間の協議で20名の退職者をクジで選ぶことになったのだ。ミシェルが次々と名前を呼び上げていく中、彼自身の名前も読み上げられる。委員長権限でリストラ対象から外すことができたにも関わらず、彼は自分の名前もクジに入れていたのだ。ミシェルは、妻マリ=クレール(アリアンヌ・アスカリッド)に、自分がリストラにあったことを告げる。妻は戸惑いながらも、気骨溢れる夫を誇りに思っていた。2人の結婚30周年を祝うパーティーが行われ、リストラされた社員も含めた多くの仲間が招待された。孫たちの合唱『キリマンジャロの雪』と共に、夫婦の長年の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅が家族からプレゼントされる。しかし、このサプライズが彼らの人生に思わぬ事態を招いてしまう……。ミシェルとマリ=クレールが、ドゥニーズ(マリリン・カント)とラウル(ジェラール・メイラン)の妹夫婦たちといつものようにカードゲームに興じていたある日の夜、突然マスクをした強盗2人に押し入られる。強盗は金品と共にキリマンジャロ行きのチケットを奪っていった。まじめに善良に生きてきたのに、なぜ自分たちがこのような目に遭うのか、と悲しみに暮れるミシェルたち。ドゥニーズは事件をひきずり、日常生活を送れなくなってしまう。ラウルはそんな妻を見て、犯人への憎悪が膨らんでいくばかり。数日後、犯人の1人が、ミシェルと一緒にリストラされた青年であることが判明し、ミシェルとマリ=クレールは大きなショックを受ける。しかし、青年が幼い弟2人を養い、借金と生活苦に行き詰っての犯行だったことが、やがて明らかになる……。
058★★★★