『ル・アーヴルの靴みがき』 梅田ガーデンシネマ

●スタッフ
監督 アキ・カウリスマキ
脚本 アキ・カウリスマキ
製作総指揮 ファビエンヌ・ヴォニエ
レインハード・ブランディグ
プロデューサー アキ・カウリスマキ
撮影 ティモ・サルミネン
美術 ウォウター・ズーン
録音 テロ・マルンベリ
照明 オッリ・ヴァルア
編集 ティモ・リンナサロ
衣裳デザイン フレッド・カンビエ
メイク ヴァレリー・テリー=ハメル
キャスティング ジル・シャルマン
ライン・プロデューサー ステファン・パルトネ
ハンナ・ヘミラ
製作主任 レミー・パラディナス
マーク・ルヴォフ
助監督 ジル・シャルマン
コーディネーター クレール・ラングマン
●キャスト
アンドレ・ウィルムス (マルセル・マルクス
カティ・オウティネン (アルレッティ)
ジャン=ピエール・ダルッサン (モネ警視)
ブロンダン・ミゲル (イドリッサ)
エリナ・サロ (クレール)
イヴリヌ・ディディ (イヴェット)
ゴック・ユン・グエン (チャング)
フランソワ・モニエ (ジャン=ピエール)
ロベルト・ピアッツァ (リトル・ボブ)
ピエール・エテ (ベッカー医師)
ジャン=ピエール・レオ (密告者)
政治や経済がどれだけお先真っ暗であっても、世の中そんなに捨てたものではない。うらぶれた港町のごく普通の人々がそう信じさせてくれる。そこはかとない悲しみと笑いが静謐な画面から浮かび上がり、観る者の心にささやかでも温かい幸福感がひたひたと染み渡るのだ。フィンランドが生んだ世界の巨匠アキ・カウリスマキ監督の『街のあかり』以来5年ぶりに撮る本作は、不条理に満ちた世の中への静かな怒りと、そこに生きる人々への優しさに満ちた新たな名作である。2011年のカンヌ国際映画祭では国際批評家協会賞、エキュメニック賞スペシャル・メンションに加え、愛犬ライカの名演にパルム・ドッグ審査員特別賞が贈られた。
●解説
「街のあかり」(06)以来5年ぶりとなるアキ・カウリスマキの監督作品で「ラヴィ・ド・ボエーム」に次ぐ2本目のフランス語映画。監督デビューした1980年代から一貫して社会の片隅でひっそりと生きるアウトサイダーを見つめてきたカウリスマキが、今作ではヨーロッパの深刻な移民問題を描き出す。庶民の人情と善意がたぐり寄せる奇跡を、時に優しく、時にこぼれだすオフビートなユーモアを交え、つむぎだされたヒューマン・ドラマの傑作。
●あらすじ
北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアンな生活を送っていた元芸術家のマルセル・マルクスアンドレ・ウィルム)は、ここで靴磨きを生業にしている。駅や高級革靴店の前で仕事をしているが、日々の稼ぎはわずか。だが、家には自慢の女房アルレッティ(カティ・オウティネン)と、愛犬ライカが帰りを待っていてくれる。決して豊かではないが、毎晩呑みに行きマルセルはそんな暮らしに幸せを感じていた。ある日、港にアフリカ・ガボンからの不法難民が乗ったコンテナが漂着する。警察の検挙をすり抜けた一人の少年イドリッサ(フロンダン・ミゲル)は、港でマルクスと偶然に出会う。イドリッサの母親がいるロンドンに送り出してやるため、密航費を工面しようとマルセルは奮闘するが、時を同じくして、妻アルレッティは体調の不調をうったえ入院、医師から不治の病を宣告される。
046★★★★