『風にそよぐ草』 梅田ガーデンシネマ

●スタッフ
監督 アラン・レネ
脚本 アラン・レネ
ロラン・エルビエ
原作 クリスチャン・ガイイ
製作総指揮 ジュリー・サルヴァドル
製作 ジャン・ルイ・リヴィ
共同製作 ヴァレリオ・デ・パオリス
撮影 エリック・ゴーティエ
音楽 マーク・スノー
ナレーション エドワール・バエル
●キャスト(役名)
サビーヌ・アゼマ (Marguerite Muir)

アンドレ・デュソリエ (Georges Palet)
アンヌ・コンシニ (Suzanne Palet)

妄想は欲望に火をつけ、過激に舞い上がる。『去年マリエンバードで』『恋するシャンソン』の巨匠アラン・レネによる軽妙にして洒脱、しかもシュールな傑作である。80歳を過ぎてそのクリエイティヴィティは衰えるどころか、さらなる高みへ軽やかに飛躍してみせる。現代フランス文学を代表する作家クリスチャン・ガイイの原作小説が持つ独創的な魅力を余すことなく映像化し、第62回カンヌ国際映画祭コンペ部門では、審査員特別賞と特別功労賞の2冠に輝いた。主演のサビーヌ・アゼマとアンドレ・デュソリエのベテラン・コンビの好演は言わずもがな、マチュー・アマルリックエマニュエル・ドゥヴォスら贅沢に配した脇役陣も極上。
●解説
「去年マリエンバードで」で知られるフランスの巨匠アラン・レネが、89歳にして送り出した大人のラブストーリー。ひったくりに奪われた財布を拾ったことがきっかけで、初老の紳士がその持ち主の女性に心奪われてゆく。出演は「ミックマック」のアンドレ・デュソリエ、「巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)」のサビーヌ・アゼマ。
●あらすじ
ある日、ショッピングセンターを訪れた初老の歯科医ジョルジュ(アンドレ・デュソリエ)は、駐車場に捨てられていた財布を偶然拾う。お金は抜き取られていたが、小型飛行機の操縦免許証が入っていた。そこに記されていた名前はマルグリット・ミュイール(サビーヌ・アゼマ)。それは、彼女がひったくりに奪われたものだった。添付された女性の写真を目にしたジョルジュは、浮足立つ。財布をどうやって彼女に届けようかと思案したものの、結局、警察に届けることに。翌日、自宅の電話が鳴る。マルグリットからだったが、お礼を述べるだけのそっけない態度に失望し、乱暴に受話器を置いてしまう。が、その態度を反省したジョルジュは、謝罪の手紙をポストに投函。数日後、マルグリットからは気にしていないという内容の返事が届くと、再び手紙を書く。しかし、彼女からの返事はない。これをきっかけに毎晩のように彼女に電話をかけ、留守電に“話がしたい”とメッセージを残すジョルジュ。だがある夜、電話に出た彼女から“これ以上は電話してこないでほしい”と言われ、彼女の車のタイヤを切り裂いてしまう。これを受けて、警察に相談するマルグリット。相談を受けたベルナール刑事(マチュー・アマルリック)は、ジョルジュの家を訪ね、彼女への連絡をやめるよう優しく諌める。しかし、ジョルジュは深く傷ついていた。ジョルジュからの連絡は途絶えたものの、逆にマルグリットは彼に対して気の毒な事をしたのではないかと、気に病んでいた。そしてある夜、ジョルジュ宅に電話して居場所を聞き出すと、外出先の映画館に駆け付ける。面識はなかったが、お互いを認識した2人は、近くの喫茶店で飛行機の話題に興じる。その後も些細な行き違いはあったものの、ある日、マルグリットはジョゼフと妻を飛行場に招待する。そして、思いがけず2人になると、口づけを交わす。こうして、2人の恋が始まったように見えたのだが……。
030★★★★