読書「上方落語の四天王」戸田学 岩波書店

六代目笑福亭松鶴桂米朝、五代目桂文枝、三代目桂春団治
彼らは、戦後間もない頃、相前後して上方落語界に入門した。
時には助け合い、また時には競い合って芸を磨き、やがて一世を風靡、四天王と称されるまでになる。
滅亡寸前だった上方落語を復興させた功績は大きい。
それぞれに異なる個性・芸風で人々の心をとらえた四天王。
その芸の魅力とは何か?
著者は、実際の演目を例に挙げながら綿密な考察を加え、芸の本質を鮮やかに浮かび上がらせる。
演者の声・口調・間・仕草など細部にまでこだわった分析は、落語口演を聴き続けてきた著者ならではのものである。
四天王への敬愛の念と、その芸への鋭い洞察が光る、画期的な四天王論。

第1章 米朝落語の考察(『地獄八景亡者戯』;『たちぎれ線香』 ほか)
第2章 松鶴の話術―繊細と稚気(声の魅力―“音”の可笑しさ;やはり『らくだ』、酒のネタから ほか)
第3章 文枝の落語―五代目松鶴からの進化(丁稚は、喜六に通じる;ハメモノ落語を描いても ほか)
第4章 春団治の世界―舞踊と落語の融合(『代書屋』;『いかけ屋』 ほか)
第5章 大阪の古今亭志ん朝
上方落語四天王――松鶴米朝文枝春団治の芸の魅力とは? 著者はその答を求め,実際の演目を例に挙げながら,具体的に論じていく.演者の声・口調・間・仕草など細部にまでこだわる手法により,知られざる芸の本質が鮮やかに浮かび上がる.随所に,著者の芸を見詰める温かな視線と鋭い洞察が光る,画期的な四天王論.


いやいや、なかなかのスリリングな考察に脱帽。タイトルにはないけど、個人的には志ん朝のくだりが一番面白かった。